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フレディ・マーキュリー

フレディ・マーキュリー

声のパワーを共感に変える最高のシンガー



参照:ウィキペディア

参照:クイーンの代表曲ならこの10曲を聴け NAVERまとめ




 みなさんはロックを聴くでしょうか?それも一昔のものを。今回はオールディーズが好きな方であれば説明不要、それだけ有名なフレディ・マーキュリー氏です。

 クイーンのボーカリストである彼の歌声はCMで流れた『Don't Stop Me Now』やドラマの主題歌『I was Born to Love You』などで聴いたことがあると思います、上の動画の2曲も有名ですね。


 昔、はじめて彼の声を聴いた時はなんだか他の人と触感が違うなぁと思って、いつの間にか病みつきになっていた記憶があります。それはザラザラしているような滑らかなような、俗にいう「良い声」という印象ではなかったのに、やはりパワーのある声というのは人を惹きつけるものなのでしょう。

 あと「文章はかったるい」という人のためにちょっとずつ動画も上げていきます。よろしくね。(※音が出ます)


 フレディ・マーキュリー氏の声というのはかなり表情豊かに歌い分けがされていて、中でも特徴的なのはガサガサ感のあるパワフルなトーンでしょうか。動画で言えば0:49の「ワンモアターイム」とか。

 このトーンだけでも凄いのに、1:58のような伸びと広がりのあるトーンやオペラ発声のような軽やかな発声、柔らかく艶やかな声など素晴らしい声質をいくつも持っています。


 曲にもよりますが、これらの声質をニュアンスごとに組み合わせて歌うスタイルは緩急がありドラマチックで、それゆえにパワフルなロックボイスが尚更パワフルに聴こえるという相乗効果を生み出します。

 声質としてはガサガサ感を加えたりそうでなかったりで、まるで特徴の違う二人が歌っているような効果があるんですね。


 よく「歌に強弱をつけろ」と言いますが、それはただ声量を変化させるだけではなくフレディ・マーキュリー氏のように倍音のメリハリを利かせるとより効果的だということですね。

 むしろ、倍音に変化がないのに声量だけ変わっても「丁寧だな」という印象にしかなりません。当然、言うほど簡単なことではありませんが歌が好きならこういう歌い方をしたいなと思うスタイルですよね。




さて、その声のパワーを感じるのにちょうどいいのがこちら、85年LIVE AIDでのマイクパフォーマンスです。最初の「えーおー」から彼らしい臨場感のある声で、その熱量みたいなものが伝わります。次の「えーおー」では音が上がりガサガサ感も増え、こちらも声を出して応じたくなるようなパワーがあります。

 見ての通り何万という聴衆がそれに呼応して「えーおー」しているわけですが、これはただテンションが上がって叫んでいるのではなく、フレディ氏の声ヂカラに突き動かされていると考えていいのではないでしょうか。私も「えーおー」したくなりますし。

 それに私だけでなく、ここに居合わせた観客や関係者の証言でも「すごく遠くにいるはずなのにフレディをすぐ近くに感じたんだ」「あれだけの観客を叫び声だけで一つにしてしまった」と、その声の求心性の高さを指摘されていて、声ヂカラの影響力というのを示すのにこの動画は適切かと思うのです。

 ただ声がでかいだけではまずこうはならないはずでしょう。


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 声質についていえば、ここでのフレディ・マーキュリー氏はザラザラした非整数次倍音というものが多く、ザーっという砂嵐のような音が含まれた声です。

 こうした音は深刻そうだったりおどけたような場面の声で、感情的で親しみがある印象になります。その上で整数次倍音という声の音高の1オクターブや2オクターブ上の倍音も含まれるため、声に広がりや神々しさを感じるわけです。


 倍音について説明すると、非整数次倍音というのはつまり「整数次倍音じゃない音すべて」なので、両方が豊かに含まれていても「非整数次倍音が多い人」ということになります。

 フレディ氏も両方豊富なので開放感と共感をともに与える声質ですが、分類では「非整数次倍音が多い人」になるわけですね。


(倍音に関してはこちらで解説しています。)


 ではそのノイズ感がなくなるとどうなるか、それを見ることもできるのがこの動画のいいところ。0:37から「りーろれろれろ」が始まりますがここではノイズ感が薄れ、クリーンな声になっています。

 主観的に、そうなることで英雄的な優雅さを感じますがその前ほどの高ぶりはなくなったように思います。観客もちょっとひいちゃってるのはメロディが複雑なせいだけではないんじゃないかな。


 まぁつまり、声の力強さ自体は変わらないのに声質によって伝わり方がかなり違うということですね。フレディ・マーキュリー氏はそれがわかってるし、実際にそれを扱うことができる凄まじいシンガーだということです。

 こうした歌声のエネルギーに関してはこちらでも書いています。
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 ロック界に声量やパワーのあるシンガーは他にもいますが、このようにそのパワーを共感に変える能力というのは彼が段違いのトップではないでしょうか。そういう意味で、私はフレディ氏を最高のロックシンガーと密かに呼んでいるのです。





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 実は何年か前にフレディ・マーキュリー氏の声についてオーストリア、チェコ、スウェーデンの研究チームが科学的に分析をしていて、その内容がネットにも上がっています。

 それによると彼の声というのは通常の声帯の他に仮声帯(かせいたい)というヒダも音を発していて、地声とは別にサブハーモニクスが加わっているそうです。仮声帯って普通は発声に使われないそうなんですよね。


 このサブハーモニクスというのはモンゴルのホーミーという歌唱法にも検出されていて、地声と合わさってかなり複雑な倍音を作りだしています。具体的にフレディ氏のどの声がサブハーモニクスなのか説明がないのですが、彼独特のザラザラ感とも関係があるのかもしれません。

 他にもビブラートがかなり特殊で、他に見られないほど高速で複雑な揺れ方をしているそう。これもサブハーモニクスが関係するのかなぁと思うと彼の声の複雑さも辻褄が合いそうだけどなぁ。


 なんというか、高い音とザーっという音が同時に鳴っていて、さらに息が漏れるシューっという音も混じるわけですよ。このザー音が仮声帯と息が当たって生まれる音であれば、それと声帯が生むパワフルな声が加わわることで広がりと複雑さを感じるこの声になるのかなぁと思ったのです。

 でもそれってめちゃくちゃスゲーってことで、それに近づきたければ私もホーミーの練習しなきゃダメだろうか…?

クイーンとロックミュージック

 クイーンというと今ではロックのスタンダードみたいに思ってしまいますが、売れたバンドの常としてそこには一種キワモノの要素もあるわけです。73年にデビューしたころはグラムロックっぽい派手で艶やかな音を使い、日本ではビジュアルバンド的な売れ方をしていました。


 それからオペラのような劇作っぽいハーモニーを取り入れた『Bohemian Rhapsody』が75年に大ヒットし、クイーンはブリティッシュロックの代表バンドとして世界に認知されることとなりました。

 私はクイーンのベストアルバムが初クイーンだったのですが、ロックのつもりで1曲目の『Bohemian Rhapsody』を聴き始めて微妙に困惑した覚えがあります。あれが1曲目って正解だったんだろうか、今でも答えに困ります。みなさんはロックバンドを聴くつもりであれが出てきたらどう思うでしょうか?




 しかし75年時点でロックバンドにオペラをされても当時としてはそこまで奇想天外なものではなかったんです、問題はサウンドよりもラジオ番組に使いづらいということだったそう。

 それ以前にエマーソンレイク&パーマーというバンドがエレキサウンドで『展覧会の絵』というクラシック曲をカバーしたアルバムもあったので、ロックバンドがクラシックを持ち出すことは大した違和感もなかったわけです。


 当時のロックの潮流としてはマーク・ボラン氏のようなグラムロックやピンクフロイドなどプログレッシブロックが主立っていました。

 グラムロックというのは今でいうヴィジュアル系みたいに中性的なメイクをした人の華やかなロック、プログレはロックを越えたロックとして高い演奏技術や音楽性に向かっていったロック。前者はデビッド・ボウイ氏がそれからも活躍し、後者はピンクフロイドやキングクリムゾンが長年にわたり活躍しています。



 マーク・ボラン氏の『20th Century Boy』。以前にCMで使われたので知っている方も多いでしょう。華やかでわかりやすく、それでいてどこか不健康なカッコよさはそれからの文化にも大いに影響を与えました。黒人音楽の影響も抜けて、現在のロックのイメージを作りだしたのもこれじゃないかなと思います。




 長い曲なので歌が始まる5:10から再生、これはピンクフロイドの『Crazy Diamond』です。プログレの曲というのは組曲みたいな構造で長いものが多く、今の人が聴くにはそこで損をしているジャンルかと思います。

 部分的にカッコイイ曲も多いのでクラシックベスト100みたいに、プログレのおいしいとこを集めたベストアルバムを作れば売れるかも知れませんね。


 クイーンがデビューし躍進していった時代というのはこうしたバンドが活躍していた時代でもあったため、新たな音楽性を求めて オペラやディスコファッションをしていったのは流れとして理解できるわけです。

 ただその中での誤算というか強みは、一級のシンガーであるフレディ・マーキュリー氏と魅力的なギタリスト、バンドがそれを行ったことなんでしょう。




 個人的には、このレッドツェッペリンというバンドがグラムロックやクイーンにとってモデルとなったんじゃないかと考えています。曲の途中で派手な転調をしたりライブ演奏がやけに長いのも、プログレバンドの音楽性との共通点があります、同時代なので当然ではありますが…。



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レッドツェッペリン

 左から2番目がボーカルのロバート・プラント氏です。69年ごろロックバンドといえば粗野で不良っぽいビジュアルだったのですが、中性的なカッコよさを備えたプラント氏の登場からアンニュイなビジュアルが流行りだした印象なんですよね。

 相当売れたバンドなので影響を受けていないバンドはないでしょうが、クイーンも当然その面影を追っていたことと思います。やはり偉大なバンドですねぇ。


 しかし70年代も後半となるとグラムロックもプログレも人気は下火となり、新たに盛り上がったのがセックスピストルズやザ・クラッシュといったパンクロックです。こちらはイギリスの経済不振への反発から燃え上がったムーブメントで、その攻撃的な音楽とファッションはナウなヤングに相当な影響力を持っていたようです。

 演奏は拙いのですが勢いはベテランを吹っ飛ばすようなものがあり、やはり音楽は複雑化→単純化→再び複雑化のサイクルで回っているんだなと気付かせてくれます。グラムロックだって似たようなコンセプトだったんですからね。




 さて、こんなわけでクイーンとロックミュージックについてでした。クイーンというのは今ではロックの代表バンドですけど、それは必ずしも時代のスタンダードという意味ではなさそうなんです。

 グラムロックよりはタイトだしプログレよりもケバケバしい、かといって次代にはパンクロックというブームが来て、もちろんクイーンはパンクではなく良くも悪くも主流から一歩離れてたんじゃないでしょうか。

 そんな主流から外れたクイーンを聴いてずいぶん経ち、今では私の中で彼らは懐メロ化してしまっています。別にタイムリーに聴いていたわけではありませんが、聴き始めたのが高校時代だったので改めて聴くと「あ、懐かしいなぁ」という気分。


 そこでおもしろいのが、この懐かしいのはあくまで当時のベストアルバムの音であって、その後の『ジュエルズ』というベストアルバムの音だとちょっと違うということです、音の違いはそんなにわからないのになぜか懐かしさが違うんですね。

 人間の耳っていうのは中々に利口なようです、私自身以上に。さぁこれから先クイーンと自分がどういう関係になるのやら、この先の人生のちょっとした楽しみとなっています。




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