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アレサ・フランクリン

アレサ・フランクリン

耳の肥えたリスナーでさえ虜にした世界一偉大な声



参照:ウィキペディア

参照:アレサ・フランクリン代表曲まとめ(自作)


 こんにちわ、北区ボーカル研究会です。今回もよろしくお願いいたします。


 こんにちR&Bというとすでに日本やアメリカのポップスでも当然のように歌われ、黒人音楽といえばヒップホップのイメージの方が強いかと思います。とはいえ何にでも歴史というのがあるもので、ヒップホップ以前にはR&Bこそがザ・黒人音楽であり、60年代は誇りを込めてそれを「ソウル」と呼びリスナーは熱狂していたんですね。

 アレサ・フランクリンさんは1967年、25歳の時にソウルでブレイクし87年には女性初のロックの殿堂入りを果たしています。また、その図抜けた歌唱能力と、その後のR&Bボーカルに与えた影響力の強さから「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第1位を獲得しました。




 聴いてわかるように、その声というのは一昔前のR&Bのイメージそのものと言ってよいでしょう。音域についてもhihiA♭をパワフルに歌い上げ、リズム感の良さもビブラートもピカイチで何より聴いていて気持ちがいい。この方を偉大なシンガー1位に推すことは合意をとるうえで都合がよいであろう、そんな雑誌側の魂胆も想像できますね。

 60年代のソウルミュージックというのは50年代末に設立されたモータウン・レコードとスタックス・レコードによって起こったムーブメントで、モータウンは白人市場に向けた耳馴染みの良い音楽を作り、こちらはノーザン・ソウルと呼ばれました。スタックスはあくまでゴスペルやブルースの「黒さ」を大事にした音楽を指向してサザン・ソウルと呼ばれ、それぞれ北部と南部の特徴が濃く出た音楽性を持っていました。

 それらがお互いに競い合って音楽性を高め、また黒人への差別法であるジム・クロウ法の撤廃を要求する「公民権運動」と結びつき、ソウルミュージックの熱狂はアメリカ全土に広がっていきました。

 アレサ・フランクリンさんは元々ポップス歌手としてデビューしましたがセールスに恵まれず、67年にスタックスに移籍してからゴスペル色の強いソウルを歌うようになり、持ち前のパワーを発揮して一気にブレイクしました。やはり音楽というのは絶妙なもので、ただ歌えればいいわけではなく音と声とリスナーがマッチしないと感動に結びつかないんですね。




 こちらはスタックスのサム&デイブというユニットの曲です。ベースラインといい管楽器を使った盛り上げ方といい、良くも悪くも田舎っぽいと言ってよい。声に関しても「オレはブラックだ!」と言わんばかりに倍音を鳴らしていて、同じ黒人としては「これこそ俺たちの音楽だ!」と勇気づけられたのでしょう。

 しかし当時の白人が聴くには少々つらい音であったかも知れません。みなさんは今聴いてみてつらくはないでしょうか、大丈夫でしょうか?




 次はモータウン代表のマーヴィン・ゲイ氏です、ちょっとズルいですが違いがわかりやすいようにスタジオ版で。こっちはコーラスやストリングスが優雅で耳馴染みがよく、声もソフトで軽いため黒人っぽさが強調されていません。実際にこの曲はかなり売れたようなので、幅広い層に売るというモータウン戦略の具現化のようなものですね。



 さて、同時代のモータウン側の歌姫としてダイアナ・ロスさんを取り上げましょう。こちらもクリアな歌声で耳馴染みが良く、R&Bというよりポップスと言った方がしっくりくる気がします。アレサ・フランクリンさんと比べるととても対照的で、これら両方があるからこそR&Bというジャンルがより豊かで魅力的なものになっていったのだとわかりますね。





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アレサさんの声と表情の関係

声区、喚声点



 ではちょっと、表情から声の感覚を探ってみましょう。まずアレサさんというのは歌っている時は口を大きく開ける人です。チェストボイスの音域ではあまり口を開けない人が多いのですが、アレサさんはチェストボイスでも口を大きく開け言葉の発音をハッキリ聴かせるのが好きなんですね。ここらへんは口パクじゃないことを祈るばかりです。

 そうして口を大きく開ける事でどこかはにかんだような楽しげな声質になりますが、同時に目元にも力感があって焦点があってないような表情です。マネして声を出すとわかりますが、こうすると声を上げやすいし高い音の成分が強くなるので抜け感がよくなるんですね。

 その他おおざっぱに言えばミドルボイスの音域に入ったり強い声を出すときは眉間にシワが寄り、ほうれい線も深くなります。逆に、高いけど軽い声を出したい時は笑顔のような表情で上を向き、あまり力感のない表情で声を出します。聴いてわかるようにトーンや発音をかなり頻繁に操作していて、それにつれて表情も非常に豊かに使って歌をうたっていますね。もし無表情で歌えと言われたら絶対にこれと同じように歌えないはずです、これは断言できる。

 で、2:09の叫ぶところは笑顔で上を向き、なおかつ力感があってシワが深いという表情です。音の高さはhiDでミドルボイス3の音域ですね。その声は軽めだけどエモーショナルで、これまで見てきた表情から推測してもしっくりくるものです。2:12はファルセットでhiC#、切なそうなニュアンスを出すためにやはり表情もそれに応じた動きをします。ここは母音が「う」なので口を尖らせるようにして口内に奥行きを作ってるのかなと思います。

 とまぁ、こんな感じでちょっと見るだけでも顔の使い方が非常にうまく、まさに顔で歌うシンガーと言っていいでしょう。逆に喉元にはほとんど力感はないため、感覚としては目元と唇のあたりがほとんどじゃないかなと思います。あとはしつこくマネしてると感覚も深く理解できると思いますが、当然ながらこれだけの声を出すにはフィジカルもかなり鍛える必要があるので、まぁ焦らずいきましょう。

後世への影響とフォロワー

 最後にアレサ・フランクリンさんの影響がどのように伝播していったのか、R&Bやその影響かのシンカーについて書いていきましょう。まぁ実際には、先ほどのダイアナ・ロスさんとうまくブレンドして現代的にアレンジした例が多いのですが、間違いなく念頭に置かれるモデルであったと思います。




 ホイットニー・ヒューストンさんですね。ルックスも歌唱力も抜群のアイドルとしてデビュー前から注目され、もう予定通りブレイクした後はモデルや女優業も行っていました。洗練された美しい声ですが、時折みせる倍音の強い部分はアレサさんに近しいものを感じます。日本でもエンダーの歌が有名。




 次はセリーヌ・ディオンさん。彼女の世代になるとR&Bを聴きながら育っているため、白人ながらところどころで黒人っぽい鳴りの声を入れています。70年代のバーブラ・ストレイザンドさんはまだ白人ぽさが全開な感じでしたが、90年代セリーヌさんはR&B要素をうまくミックスしてディーバ系の声というのを洗練させました。日本でもタイタニックが流行りましたね。




 またもやディーバ系スーパーシンガーのマライア・キャリーさんです。こちらは声をキュキュっと鳴らすあたりはダイアナ・ロスさんの影響が強いかな。スキャンダルのネタにされることが多いですけども、2000年代に入るころにはミックスボイスのトーンコントロールが超人的にうまく、誰もついていけません。後続のシンガーにとって高すぎる壁ですねぇ。アナグラさんがんばれ。

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 はい、じゃあこんな感じです。アレサさんのフォロワーというか普通にスター歌手の紹介でした。でも彼女の影響を受けていない女性シンガーなんて存在しないと考えていいと思います、誰もがアレサ的なニュアンスを意識しつつ、それを現代風にアレンジしていく方向で進んだのが上の3人じゃないかなと。

 白人的表現と黒人的な表現をミックスして日本ではディーバ系と呼ばれる彼女たちですが、2000年代にかけて、その彼女たちのフォロワーもどんどん増えていったわけです。なのでルーツとしてアレサさんの影響力というのは計り知れず、偉大なシンガー1位というのは大いに納得できる結果でしょう。

 もし問題があるとすれば、それは巨人過ぎて悪いことが書けないってことでしょうかね。そういう意味で評論家泣かせではあるかもしれません。




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