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参照:声区とは


手嶌葵(てしま・あおい)

手嶌葵

だれよりも沁みるしっとりボイス



参照:公式サイト


参照:ウィキペディア


 こんにちわ、北区ボーカル研究会です。今回もよろしくお願いいたします。


 彼女の声との縁はゲド戦記を見に行った時から。もう十年以上前になりますね。まさに新人の時期から聴いているので一緒に歳を取ってきたような印象です。


 歌い方はかなり特徴的で、中低音は息っぽく秘めやかに、内緒話のように人の注意を惹きます。手嶌さんは174cmと、女性にしてはかなり背が高いのですが地声を小さくして高い倍音を聴かせるように歌うため、軽やかで音抜けが良いのです。

 そして高音hiCやhiDでも倍音を保ち、それまでのスモーキーな感じからキラっと輝くようなファルセットになります。これがまたキュンとくるのです。




 女性でも高音をこれだけ静かに美しく発声できる人は他にいないため、彼女のシンガーとしての才能は一級品かと思います。つまり私は彼女が大好きなのです。


 今回はそんな手嶌葵さんについて考えていきましょう。


なぜ息っぽいのに聴き取りやすいのか?

 今ではウィスパーボイスという言葉はよく知られていて、そうした歌い方のシンガーも多いです。しかし息っぽくモニョモニョ歌うと今度は歌詞が聴きづらくなったり、平坦な歌い方になってしまう。


 対して手嶌さんの場合は発音は丸みがあって滑らかなのに、言葉はチクチクっとしっかり刺さってくるのです。この違いはどこからくるのか?

 それは子音が強いから。子音って「Ka(か)」でいえば「K」の部分ですね、手嶌さんは日本人には珍しいくらい子音を強くして言葉の輪郭を作っているのです。


 子音は非整数時倍音という、ノイズとも言える雑音なので強くだすとかなり耳に刺さるわけです。ウィスパーボイスにこれが混ざることで、ヒソヒソ話のようになんとなく聞き耳を立ててしまうような求心力が生まれる。


 また、声自体にも息混じりのチリチリしたノイズがあるために、声量に比べ存在感のある歌声になります。ツルンとしたこもった声だと訴求力がありませんが、手嶌さんの声だと深刻で秘めやかな印象になるわけなのです。




 その子音も、2006年ゲド戦記の時点では特別強いわけではなかったのです。プロデューサーの鈴木敏夫さんの「唱歌のように言葉を大事に歌ってほしい」という要求から、丁寧に歌ってはいますがその後に比べて子音は大人しいです。




 そうして2011年コクリコ坂になると、母音は弱く子音は強くという今のスタイルになります。こうなると発音にかなり動きを感じるようになり、声自体にもノイズが増えたことから耳に刺さる歌声になるわけです。

 こうして注意を惹く声を聴きながら、サビではキラリと輝く高音がでてくるので彼女の歌を聴いてるとついついジーンときてしまいます。


 ほんと、良い歌声ですね!





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ルーツはジャズ・映画音楽

 で、なぜそういう日本人に珍しい歌い方になったか。彼女が語るのはジャズや映画音楽などのオールディーズの影響です。手嶌葵さんが得意としている『The Rose』という曲も1979年に映画の主題歌となった曲。




 つまり外人の歌う曲に合わせて、外人みてーに歌っていたら現在の下地ができたんですね。やはり表現者にとって人生の影響って大分色濃いわけです、それは物作りでもなんでもそうなんでしょう。


 中でも中学時代に好きだったのが『ティファニーで朝食を』の主題歌である『Moon River』だそう。今でもカバーされ続けるジャズの名曲です。





 参考動画がなくなっちゃいましたが、ライブの挙動からもウラ拍への意識が強く、リズムの取り方がジャズっぽいです。やはり自分のルーツとしてジャズを本格的に歌う研究をしたのだと思います。


 ジャズシンガーではルイ・アームストロング氏やエラ・フィッツジェラルドさんなど、50~60年代あたりの曲から影響を受けたようです。

 CDなどの録音媒体によって、生まれる前の文化に強い影響を受けるのも現代ならではです。上記のお二人のデュエット曲があるのでその動画も貼っておきますね。





 ゲド戦記でデビューした後は作曲家・菅野よう子さんとコラボして『Because』という曲を歌っています。英語の歌詞と深刻な曲調はまさに手嶌葵さんのハマり曲で、他のシンガーではなかなかこのニュアンスは出せないのではないでしょうか。


 アメリカのジャズ・映画音楽からの影響を活かした唯一無二のパフォーマンスだと思います。この曲を書いた菅野よう子さんもさすが、いい仕事してますね。私もこの曲を聴いた時は嬉しくなってしまいました。


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 さて、手嶌葵さんがデビューしたきっかけはジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんが、彼女のデモテープを聴いてその起用を即決したことからです。

 そのシンガーが五年後、十年後にここまでのシンガーになるとは・・。鈴木敏夫おそるべしなのです。


 上の『Because』にしろ月9に使われた『明日への手紙』にしろ、彼女の表現は他人がマネのできないもので、つまり相当やばいシンガーなのです。


 他人がマネできず、かつその表現が良いものであればそいつは天才です。歌手ランキングでは5位になってますが、個人的な好みでいえば国内では一番好きなシンガーです。彼女は私を感動させる天才なのです。


 デビュー時から知っている彼女の歌声がこれからどうなっていくか、何を聴かせてくれるやら、それをいつも楽しみにしています。

 派手なタイプではないのでドカンと活躍するわけではありませんけど、水谷豊さんの映画「轢き逃げ―最高の最悪な日―」の主題歌も決まってるし、これからもジワジワと話題を振りまいてくれることでしょう。


 これからの人生、彼女の歌声をずっと聴いていたいなぁと思います。




 この記事はこんな人が書きました。『海の幽霊』や『LEMON』『マリーゴールド』歌ってみた。







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