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関連:Aimerという天才


参照:声区とは


ノラ・ジョーンズ

ノラ・ジョーンズ

親しげオシャレなスモーキーボイス

参照:公式サイト


参照:ウィキペディア


 こんにちわ、北区ボーカル研究会です。今回もよろしくお願いいたします。


 2002年、ジャズの名門レーベル・ブルーノートからデビューし、アルバムセールスは1000万枚を越えグラミー賞を総なめ。ジャズアルバムとしては記録的なヒットを記録し、彼女はデビューと同時に世界のスターになったのでした。そんなドラマのようなサクセスストーリーの主人公がノラ・ジョーンズさんです。


 その歌声はオシャレでいながら息のノイズが多く、ただきれいに歌うのではなく人の注意を惹くハスキーさをかもし出しています。





 南部なまりっぽい発音がやんちゃで親しげ、それでいながら息っぽい声質が儚げで、どこかオシャレなじゃじゃ馬娘を思わせます。孤高のカリスマというよりは、もっとリスナーに身近で可愛がられるシンガーではないでしょうか。


 私も彼女の声が大好きで、好きな曲を集めてリピートして聴いてる日があります。本当に、楽器としてすばらしい歌声だと思います。


 ノラ・ジョーンズさんは音楽一家に生まれ、その父はなんと、ビートルズにシタールという楽器を伝授したラヴィ・シャンカル氏。インド思想とシタールに入れ込んでいたジョージ・ハリスン氏が、ノラさんのデビュー前に亡くなっていた事が悔やまれます。

 もしハリスン氏が彼女の活躍を見ていたら何かのコラボがあったかも知れない、そう思うと残念でならないんですよね。





 こっちはビートルズのシタール曲です。




 また本人いわく、彼女のルーツはビリー・ホリデイさんなど、50年代ごろのジャズシンガーだそうです。両親が早くに離婚し、孤独な母子家庭の中ではレコードが友達だったとのこと。


 その後は聖歌隊で活動し、音大に入学後ライブツアーに出たまま退学。ニューヨークで活動中にブルーノートから声がかかったという経緯なのです。





 しかしジャズ・R&Bシンガーが度々その名前を出すところから、ビリー・ホリデイさんの歌声はやはり偉大なのだなと思います。ビリー・ホリデイさん自身は過酷な幼少期がトラウマとなり、その後も薬物やアルコールがやめられず凄惨な人生を歩みました。享年44歳。





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しゃれたスモーキーボイスと荒い発音が生み出す魅力

 さて、ノラさんの話に戻りましょう。声の特徴は、息の混じったスモーキーな声質と南部なまりに由来するであろうちょっとキツめの発音です。

 息の混ざったウィスパーボイスを出す場合は発音もやわらかく不明瞭になることも多いのですが、ノラさんは時おり濁った不良っぽい発音を入れることで親近感のある、どこか背伸びした少女のような印象を与え、リスナーにとってほっておけない存在になっているのです。


 本来、上品でスモーキーな声質というのは物憂げで深刻そうな印象を与えるため、共感はされても可愛がられることは少なそうですが、ノラさんの場合は強い子音の鳴りや母音の形にどことなく幼さがあって楽しげな歌声になります。


 これはもちろん、ただクセや声質がいいからそうなるというわけではなありません、ライブ映像などをみるとノラさんはあまり口は開きませんがマイク乗りは非常に良いのです、つまりは倍音の扱いが抜群にうまいということです。

 扱いがうまいのならあとは耳とセンスで、人に愛される歌声を作り上げていくことになります。学校生活やニューヨークでの旅を通して試行錯誤した結果なのでしょう。


 このようにノラさんを研究していくと、シンガーにとっていかに音色、トーンの操作が重要なのかということを思い知らされます。

 ノラさんは特別に音域が広いわけではありませんし、初期の段階では声区だってかなずしもスムーズではありません。ですがその歌声は誰よりも人の心を揺さぶり、たった数か月で世界中のリスナーが魅了され彼女に親しみをもったのです。


 なのでノラさんの声というのは男女を問わず、良い歌をうたうためには要チェックなのではないでしょうか


声区はそれぞれの特徴を美しく

声区、換声点

 チェストボイスではノドの鳴り(基音)よりもモワッとした倍音を聴かせるように歌います、そのためどこか不安定な感じがあるのですが、それはこの響きが豊かなことの裏返しでもあります。むしろ結構強い発音をしてもギリっとした基音が目立たないことから、その声の扱いはかなり安定していると言えると思います。


 また、チェストボイスの段階からかなりマイク乗りがよく、スモーキーな声質の割に言葉が聴き取りやすいのも特徴です。


 ミドルボイス1もその延長上の声ですが、チェストボイスとニュアンスを変えるために軽く発声することが多いです。チェストボイスにくらべて他の人も声を軽くする人が多い声区なので平均に近づき、ミドルボイス1の方がはっきり発声しているように聴こえます。


 ミドルボイス2になると曲のアクセントにするために強めに発声することが多いです、さすがにこの音域だとウィスパーボイスではきつそうで、声量も出て艶のある声になります。しかし『Don't know why』で聴けるように息っぽい声でも出すことができるみたいです、やはり幅広いですね。





 ミドルボイス3もラスサビのフェイクなどで使われるため、強い発声のことが多いです、しかし『Painter song』のラストのように声を抑えたように出すこともできるため、ここでも声の操作は抜群にうまいです。とはいえ、そのようにして高音を出すのは大変なのでライブでは結構さけぶようにして出しています、その際も倍音と音程を整えているため耳障りにはなりません。


   こうしてちゃんと聴いてみると、ノラさんは決して声質だけがウリの個性派シンガーではないことがわかります。表現のため若干クセがありますが、声区もそれぞれの使い方、聴かせ方を練られていますし耳障りなタイミングもありません。もちろんライブでもそうです。


 90年代に流行ったディーバ系の、パワフルで軽やかな声とは大分ちがうので実力派や技巧派として捉えられにくいのは事実ですが、22、23歳の時点で声の能力は相当高いと思います。仮に生まれつき声質が良かったとしても、その良さをミドルボイス3まで維持して歌うことは普通は到底できません。さすがに、彼女を採用したブルーノート社長の眼は確かだったということです。


映像では顔から声がでている印象に



 映像からわかる特徴は、上で述べたようにあまり口を開かないことが挙げられます。ノドから声を出すというより顔から音を出しているような感覚です、表情もその音を鼻のあたりに集めるような印象があります。おそらく、口を大きく開いてしまうと基音のギリギリした音が増幅されてもっと声帯の鳴りが強くなると思います。


 ノラさんがそうした硬い音を出さないのはあまり口を開かず、かつその状態でもうまく声を操作できるからなのでしょう。これも上で書きましたが、あまり口が動かないわりに発音ははっきりとしていて、硬くははありませんが強い子音になっています。


 ミドルボイス1では鼻や眉間が少し緊張し、目の焦点があってない感じになります。それがミドルボイス2になると少し上に向くようになります、ちょっとアゴがあがって顔が上に向くんですね。


 少し強く出すときは眉間にシワが寄りほうれい線が深くなるなど、力感も強くなりますがやはり口はあまり開きません。ミドルボイス3はようやく口を大きく開くようになり、声は大きく、艶のあるものになります。その際に眉毛も上側に移動し、鼻やおでこの皮膚が上に引っ張られるような感覚があります。


 「顔で歌う」、特にこういう繊細な表現をするシンガーには大事なことかと思います。

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 さてさて、白状すると私は彼女の最初の2枚のアルバムしか聴きません。ライター志向のノラさんは3枚目以降、自分で作曲をしてアートポップ路線にいくのですが、私はどうもその曲調は好きではないのです。チェックはするんですけどね。


 かといってずーっと同じ路線でやってほしいわけでもなく、仕方ないことかなと思います。最初のアルバムが好きすぎる。


 ノラさんは2004年のセカンド発売後、2005年にはブルース界のレジェンド、レイ・チャールズ氏との共演も果たしています。名実ともに大スターなのですが、彼女は業績とは裏腹に、自分で曲が書けない事に相当引け目があったようです。





 そしてプレッシャーとコンプレックスから活動は休止。その後事務所には内密に、全曲作詞作曲の3rdアルバムをリリースという事があったわけです。


 ここ数年はまたアコースティック路線でしたが、やっぱり最初のアルバムが好き過ぎてね。そんなことなので、彼女のライフワークとしての活動を見守っていきたいなと思っています。

 その人生が良きものとなるよう願います。


 以上、ノラ・ジョーンズさんについてでした。



 この記事はこんな人が書きました。『海の幽霊』や『LEMON』『マリーゴールド』歌ってみた。





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